インプリティング、みたいなものなのかもしれない。
思い込みでも勘違いでも、それでもいいんだ。僕はアルの側にいる。


[ ××× ]


僕が事件に巻き込まれてアルに助けられるまで僕とアルは同じクラスだったのに一度も喋ったことはなかった。
でも、ベシキュロサ・アルドロバンダという人はクラスの中でもどこか異彩を放つように一人凛と佇んで、自然に人目を引くようなそんな人だった。


アルは普段乱暴に振舞っているけれど、本当はとてもやさしいと思う。
本人に言ったらきっとまた照れて殴られるだろうけど、僕が事件のあと強引に張り付いたときもアルは口では文句を言いつつも決して本気で僕を拒絶することはなかったし。
ただ僕にどう接したらいいのかわからないみたいなそんな戸惑ってる感じを僕は受けた。
たぶん、人と深く関わるのに慣れていないんじゃないか、とか、人付き合いが苦手なだけなんじゃないか、とか。そんな感じ。
いろいろ不器用なんだな、と思う。

でもアルと一緒にいるのはとても心地いい。
まるで家族と一緒にいたときみたいに存在を受け入れてくれるから。
だから、もっとずっと一緒にいれるにはどうしたらいいのだろうかと考えていたときにフィリさんから観察人の話を聞いた。
公然と一緒にいられる方法、相棒でいられる方法を。
きっと、アルはいい顔をしない。
いい顔をしないどころか「観察人になる」なんて告げたら罵詈雑言と暴力の嵐だろう。ものすんごく反対する。
でも、これだけはアルにどれほど怒られたって譲れないんだよ。

こうみえて、けっこう僕ってばしつこいんだから。
ずっと側にいさせてもらうから。アルが嫌って言ったって、その右目に泣いたって僕はずっと側にいさせてもらうから、だから覚悟しといてね。




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